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議会報告2013年6月

持続可能な街づくりのために

 昨年の政権交代により、昨今はアベノミクスの効果が現れてきたとしていますが、しかし、ひとたび和歌山市などの地方に目を向けますと、まだまだ中央で言われているような効果がはっきりと出ているとはいえないわけです。地方は、自分たちの基礎自治体の範疇の中で、今後どのようなまちづくりが重要なのかと、一生懸命考えないといけないというのが本当のところではないでしょうか。
 いずれにせよ、経済が多少良くなっているとしても、和歌山市の現実に目を向けますと、将来人口推計は、2030年頃には30万人とかいわれている状況に変わりはない訳で、また少子化、高齢化に歯止めがかかったという様な事は無い訳であります。全国的な規模で人口減少や少子高齢化が起こっていくということは、経済がどのように活性化しても、実は避けては通れない社会的現象で、本市においても同様であるということであります。
 さて、そのようなことを考えていますと、まず心配なことがあります。空き家の問題です。それは和歌山市にある家屋が、人口減少や家族形態の小規模化の中で、どのような状況になっていくかということであります。
 一般論として、空き家問題は高齢化を背景に今後さらなる深刻化が予想されます。また、世帯数については晩婚化や高齢化に伴う単身世帯の増加によって世帯当たりの人員が小さくなっているため、恐らくまだ減少には転じていませんが、今後、世帯数も減少に転じることが予想されます。人口だけでなく、世帯数も減少に転じた際には、空き家問題は深刻となるのではないでしょうか?
 つまり、この空き家問題は行政機関、特に基礎自治体の積極的な関与なくして解決できないと思うのです。
 和歌山市には市街化区域と市街化調整区域がありますが、それぞれで空き家が増えていくという事は今後起こりうるし、またそうなれば管理しきれずに朽ちていく家屋も加速的に増えていくでしょう。都市計画税を徴収し、都市計画道路・下水道・公園などの都市施設の整備や宅地の利用の増進を図るための土地区画整理を行う都市計画事業が行われている市街化区域内、つまり「まちの中」にこういった管理のできない空き家が増えていった場合、まちがそのことで低迷するのは自明の理で、この現象は安心安全からは程遠いばかりか、景観や町の風情といったものまで、その価値すら変えていってしまいます。
 ですから、国の多くのまちづくりに関する対策も考慮して、行政は県都和歌山市の魅力を最大限活かせる方向性や政策を示す必要があります。空き家をどうするかということは、「人が住む器」ということに直接まつわる問題だけに、非常に重要でひとつのポイントでもあると思います。空き家になったものを、所有者自らが容易に処理できる方法はないものか、解体に掛かる経費などへの補助や、居宅が無くなることでその下の土地の固定資産税の住宅用地特例が無くなってしまうことに対する救援施策などは、中長期的にみれば非常に有効に働くと思います。
 例えば、郊外土地は優遇措置により居住者等の集約拠点等への移転を誘導する。住宅用地全体の面積は抑制しつつ一定の居住環境を維持していくこと。つまり全体として空き家をなくし、居住を集約していくなどの施策や土地の利用のあり方を考えていくことは、多核型の都市を都市計画マスタープランで標榜している和歌山市にとっては持続可能なまちを構築する上で、まさに重要、かつ必要があると考えるのです。
[問] 現在の人口と世帯数はどのようになっていますか。また、03年頃には人口が30万人前後とか言われていますが、その場合、空き家となる家屋はどのくらい出て来るのでしょうか。
総務公室長 平成25年6月1日現在の人口は、住民基本台帳人口を基準にしますと、36万6444人、世帯数は15万5232世帯となっており、国立社会保障・人口問題研究所によると、2030年に約31万人、35年に約29万人になるものと推計されております。
 空き家数は、国の住宅・土地統計調査によると、平成15年に2万9120戸、同20年に3万1060戸と増加しています。空き家数は、人口減少や核家族化、高齢化の進展などにより今後も増えていくと推定されますが、詳細な推計は、本年度の住宅・土地統計調査の結果や住宅着工戸数の動向なども踏まえ、研究していきたいと考えています。
[問] 本市の都市計画マスタープランで掲げられている地域別構想は8地域にブロックわけられておりますが、中心部地域は17の地区で構成されていて将来像として、和歌山の中心となる活力と魅力あふれる城のまち、と書かれています。中心部地域に於ける高齢化率・空家率の現況や相関関係はどうなっていますか。地区別の統計はとられていますか?
総務公室長 都市計画マスタープランに掲げた中心部地域の高齢化率と空き家率の現況ですが、平成25年3月末、住民基本台帳人口における中心部地域の高齢化率は27.8%となっています。また、住宅・土地統計調査の結果では、中心部地域に限定した空き家率のデータはありませんが、和歌山市全体として賃貸や売却用などを含めた住宅の空き家率は17.2%となっています。
 都道府県や中核市別に高齢化率と空き家率の関係を見ると、高齢化率が高くなると空き家率が増加する傾向は見られます。しかし、本市では高齢化率の地区別データはあるものの、空き家率の地区別データがないため、現時点で本市の地区別の高齢化と空き家数の関連性を正確に分析することは困難と考えていますので、空き家率の推計とともに、今後研究していきます。

◇再質問◇

 「空き家」問題は、今後ますます深刻化していくということがわかりました。公共インフラを維持管理して行く上での義務的経費を勘案しながら様々な調査のデータを分析し、持続可能なまちづくりに活かせていただきたいと思います。
 現在、建築指導課の方で条例に基づき指導していますが、なかなか問題解決に繋がらないのが実状ではではないか。3月18日の日経新聞夕刊1面に「空き家解体費8割補助」の見出しが載りました。
 内容は、地震など災害が起こった場合、空き家が倒壊して都心部の避難路をふさぐ危険があることから持ち主に空き家の解体を促すため、国土交通省が13年度にも、使わなくなった空き家を個人が解体する費用の一部を補助。地方自治体と合わせて費用の最大5分の4を支援する。日本の08年時点の空き家率は13.1%で03年時と比べて0.9ポイント上昇。全国の約757万戸の空き家のうち、管理が行き届いていないものは270万戸近くあり、98年の約1.5倍増。
 ただ補助制度を拡充しても空き家の解体が急速に進むかは不透明。解体で建物がなくなると、住宅用地の優遇措置の対象から外され、固定資産税が数倍に跳ね上がるため。国交省は「課税方法も見直す必要がある」とみていて、空き家の不具合や庭の草刈りなどの管理ビジネスを手がける不動産業者や工務店、業界団体に対しても支援する方針。
[問] 以前、国交省や県で活躍された経験のある河瀬副市長。このような政策を活用してまちづくりを進めるお考えはありますか。ご所見をお聞かせください。
副市長 御案内のとおり、平成25年4月1日に和歌山市空き家等の適正管理に関する条例が施行されてます。しかし、4月以降現在まで、空き家に関する相談の件数については37件、危険であると判定されている家屋につきましては12件ございました。このうち撤去予定のものは2件ですが、実際に撤去された事例はまだございません。
 適正な住環境を形成するためには、こういった老朽化した空き家に対する抜本的な問題解消が必要なことは十分認識してまして、議員御指摘のとおり、国においてもこの問題についてさまざまな検討がされております。
 しかしながら、一方で、議員が御質問の中で話されてました国の補助事業、空き家再生等推進事業という名称ですが、この事業では対象となる建物が限られますため、市の方で進めたいと思っている空き家対策には十分でございません。そのために、議員が御指摘のように、市独自の政策も前向きに考えていかなければいけないというふうに考えています。
 既存インフラが整備された地域や市の中心部を初めとします空洞化が予想される地域、そういった地域での空き家対策に取り組むことが持続可能なまちづくりのためにも大変重要なことだと考えておりますので、これら新しい施策を活用してまちづくりを進めていきたいと考えいます。

「法定外公共物」の管理について

 ■「法定外公共物」の管理について聞きます。これは1つの例です。昨年度、ある地区で地籍調査が行われ、そこで、立会い調査が行われましたが、公図上の里道・水路が民家の敷地の中にあったことが原因で、官民境界が確定できない状況となっていました。
 その地域は、昭和38年から43年にかけて宅地造成され、事業者は公図の書き換えなどをしておらず、それを知らない個人が里道・水路を含んで購入し、長い方で50年近く平穏かつ無事に生活してきました。そこへ市が地籍調査に入り、「公図上の里道・水路の幅員が確保できなければ、官民境界を決められない」という不幸に見舞われた住民が非常に困惑しているという状況です。その上、申請書にもとづいて問題が無ければ払い下げます、との事。
 これではその土地の所有者は、自分のものだと思って固定資産税を支払い続け、さらに払い下げを受ける費用も負担しなければならない事にもなります。すでに住宅地として使用されて長期間、官公庁は維持管理を行っていない。また、固定資産税を支払っており、完全に私有地として認識している。付近住民からもなんら異議なく、管理者からも何も言ってこない。一般的には、住宅を購入する場合、分譲されていれば何も問題がないと思い、事業者からの説明もなければ購入してしまうのではないでしょうか。
 地方分権推進法に基づき、平成17年3月末までに、現に機能を有している里道・水路等の「法定外公共物」は国から和歌山市に譲与されました。また、機能を喪失した「旧法定外公共物」は国が引き続き管理・売り払い等をしていると聞いています。「現に機能を有しているもの」とは、いま現在公共的な用途に使用されているものということです。また、「現に機能を喪失しているもの」とは、今現在、公共的な用途に使用されていないもののことです。つまり文言通り解釈すると、平成17年3月末までに国から和歌山市に譲与された「法定外公共物」は、まさに今現在、里道又は水路として地域の人たちに活用されており、機能を喪失したものはないということだと思うのです。
 市民の財産となるものに関しては、どういう状態であるのか、どこにあるのかなどを実際に調査して、引き取りなどを行うべきであると思います。しかし、市は、この「法定外公共物」の譲与を受ける際には、現地の調査を行わずに引き取っているのが現状だったということです。
 この様な状況を解決する手法として、例えば新潟市が取り組んでいる「取得時効」があげられるのではないでしょうか。新潟市では、法定外公共物の「取得時効」だけでなく、「売払い」「譲与」「交換」等の手続きも定めています。条例・規則・要領といった形です。
 残念ながら本市には、法定外公共物の管理に関する条例・規則等はありません。和歌山市でも公有財産管理台帳を作成されていると思いますが、先ほど述べましたような事が起こってきているということは、その正確性に疑問を持たざるを得ません。過去には監査で公有財産台帳の不備が指摘されています。
[問] 法定外公共物の公有財産台帳の正確性はどの程度と認識されていますか?今後、新潟市のように法定外公共物の管理に関する条例・規則等を定める考えはありませんか?
財政局長 法定外公共物につきましては、国から譲与されたときの特定図面等を公有資産台帳として所管課で管理をしており、里道等、その多くについては地番がなく、地籍が不明です。また、国から譲与を受けた当時において、機能を喪失している法定外公共物も含まれていると思われます。
 今後、公有財産管理の適正化のためにも、他都市等の事例を調査研究し、市民の皆様に不利益をできるだけ及ぼさないように、財政部を中心として、法定外公共物の公用廃止等に関する体制等の整備を行ってまいります。
[問] 現行法では、このような状態での開発行為が可能なのでしょうか?当時の開発行為に関する行政指導は、どうの様な法体系のもと行われたのか。また当時、県と市が担われていた役割を答えてください。
まちづくり局長 現行都市計画法では、開発行為をしようとする者は、あらかじめ開発行為に関係がある公共施設管理者と協議し、その同意を得なければならず、また、工事完了時には、公共施設の管理引き継ぎ及び帰属を明確にした上で検査済み証が交付されるため、公共施設が不明確な状態での完了は考えられません。
 次に、昭和40年前後の宅地造成に関しては、旧住宅地造成事業に関する法律により規制されていましたが、1ヘクタール以上の造成行為だけが対象であり、和歌山市長の経由進達により和歌山県知事が認可し、完了検査は県知事により行われていました。従って、その規模未満の宅地造成は規制する法律がなく、建築基準法上の道路を築造し、県知事が指定する道路位置指定制度しかありませんでした。

◇再質問◇

 ■法定外公共物については、今後財政部を中心として法定外公共物の公用廃止等に関する体制等の整備を行っていくとの事でしたが、当該地(旧法定外公共物)は「黙示的」に公用廃止されていると考え、現在の占用者に帰属できるような措置を、行政主導で早急に取り組んで頂きたい。
 また、法定外の土地の扱いについては、地籍測量が本市では6%という事ですから、今後その事業を最大限活用し、例えば第三者機関を創設して解決していくなど、公用財産を保護していく上でこのような混乱を招かないよう、単に地籍調査上の問題とするのではなく何らかの措置を取るべきだと考える。過去には、「新たな役割を管財課及び各所管課が果たすためには何が必要か。公有財産管理に関するマネジメントシステムの構築が必要である」と監査から指摘があったとも聞いています。
 言うまでもないが、公有財産は市民の財産ですので、その扱いは厳正にしなければなりません。不法に占有されてある物件に関しては適正な処置をお願いしたい。

地場産業と都市計画道路の発展

 ■産業や都市計画の側面から、今後の状況などについてお伺いします。地場産業が和歌山市に留まりながら発展していけるよう、前回は化学産業の分野にスポットをあて述べさせていただきましたが、私が稚拙であったのか、市長の答弁内容は、色抜き条例について大きく踏み込まれた趣旨の発言をされています。聞きたかったのは、いかに環境を守りながら、本市の納税者である住民や事業者が共存でき、地場産業を発展・振興して頂けるか。その為にも過去からの経過も含め今一度、市が持ち得る英知を結集し、新たな仕組み作りや基準作りをして頂きたいという事でした。
 その上で「和歌川終末処理区域内の工業地域に於ける下水道料金」について、市長は「地場産業の振興と公的経費の負担バランスをとることは、非常に大切な視点てあると認識しており、業界の方々とも協議を重ねてまいりたいと思います」との答弁でした。
[問] その後の取り組みと、現状についてはどうでしょうか。また、公共下水道に接道されている事業者に色抜きの処理を負わせるのではなく、受入基準から色に関する条項を抜いて和歌川終末処理場だけの単独処理は技術的に出来ないものか。
市長 下水道料金につきましては、平成24年2月議会で答弁以後、関係業界の方々と協議を進めています。協議を通じて化学産業各社の負担と公共下水道の処理経費を見て、総コストの抑制を行うシステムづくりが必要であると説明し、それについては、ある程度の御理解をいただいていると考えています。その際、業界からは、各社の色を除外する施設に係る経費節減と規制に係るさまざまな御意見をいただき、現在、対応策を種々検討しているところであります。
 公共下水道会計は現在も厳しい状況でありまして、管理費の節減を行いつつの検討ですので、処理コスト及び処理能力の両面から確認が必要です。さらに、地場産業への振興という面から料金制度へ踏み込んだ検討に時間を要しているところであります。
 公共下水道の受け入れ基準から色に関する条項を抜いて、和歌川終末処理場だけの単独処理は技術的にできないものかということでありますが、試験室での確認及び現場での社会実験を視野に、下水道部内に技術的な色規制受け入れ基準検討部会を平成24年度に立ち上げ、今年度は庁内横断的な手続等の工程を進めるため、下水道、環境、まちづくり部門で関係課長会議を立ち上げ、調整、検討しています。市にとって化学工業は、出荷額や雇用の面からも重要な地場産業であり、継続的に発展を続けられるように課題に取り組んでまいります。
[問] 工業生産出荷額が和歌山県全体の三分の一を占めるのが本市の臨港地区で、その地区から高速道路まで結ぶ道として紀ノ川右岸線の提案をさせていただきました。その後の進捗状況並びに完成目途、及びこの事業に於ける県と市の役割はいかがでしょうか?
建設局長 紀の川右岸道路の北島湊線は、平成24年2月27日に幅員7m、延長1380mを都市計画決定し、現在、県において事業認可に向けた詳細設計が行われており、北島湊線と関連する道路の取りつけ計画などについて県と市で調整しているところです。
 事業期間は、事業認可後4年程度を目標と聞いていますが、早期の供用開始を目指し、今後とも県市連携して取り組んでいきます。県と市の役割については、県が北島湊線本線の整備を、市が取りつけ道路などの関連道路の整備を行うこととしています。
 鉄鋼は和歌山市の主たる産業だが、昨年5月21日の朝日新聞朝刊に「鉄鋼スラグ海に栄養」「コンブ復活 効果てきめん」というタイトルで記事が載りました。北海道のとあるまちでは、ウニやアワビなどの漁業が主力産業だが、20年以上前から海藻類が育たなくなる磯焼けで悩まされてきたそうで、原因の一つに海中の鉄分濃度減少があり、樹木の伐採などで森が荒廃してきていることが指摘されています。新日本製鉄はスラグに含まれる鉄分の効果に目をつけ廃木材チップを発酵させた腐葉土とスラグを混ぜた「鉄分供給ユニット」をつくり実証実験を始めた結果、抱えられないほどのコンブが育っているとあります。
 その記事に触れ早速、住友金属和歌山製鉄所を訪れ環境・エネルギー部の方々から鉄鋼スラグの取り組みについて聞き、現地に赴き、研究実験や成果を拝見させていただきましたが、改めてその可能性を大いに実感しました。
 その後、社名が変更された新日鉄住金の方々に来庁していただき、市の関連職員にも鉄鋼スラグの話を聞いてもらいました。魚礁はもとより酸性の土を中和する効果があることや、歩道の舗装や様々な使い方ができるということで、鉄鋼スラグは海・山・川・まちにも使えるビタミン剤のようなな物だなと、その可能性に触れて大いに盛り上がりました。
 紀ノ川河口から沿岸部にかけての汽水域は様々な魚種の産卵の場でもありますが、藻場や魚礁に鉄鋼スラグの活用が図れれば、海藻類や魚が育つ優良なエリアになり得るし、たとえば将来的にLNG火力発電所が稼働するなどがあれば、海水温の関係なども相乗効果となり、和歌浦湾が良質な漁場の場所に発展する可能性もあり、更に和歌浦ブランドとしてその価値が高まるのではないでしょうか?
[問] 今後、和歌山市でも様々な利活用を考え、工業製品の販売促進戦略となるよう「鉄鋼スラグ」を活用してはどうでしょうか?
市長 製鉄工程で副産物として発生する鉄鋼スラグは、省資源、省エネルギーの観点から、環境への負荷を低減させるリサイクル材として評価されており、グリーン購入法の指定も受けています。
 新日鐵住金和歌山で発生する鉄鋼スラグを魚礁などに上手に利活用できれば、本市にとって産業間の連携、循環が図れる魅力的な新しい工業製品の誕生につながるものと期待されます。
 本市では、岡公園天妃山西側階段の一部およそ40平方mを実証実験場として、鉄鋼スラグと融合させた土系の舗装を行っています。試験施工された舗装の硬度、耐久性等を確認しつつ、利活用に向け研究してまいります。
 今後、鉄鋼スラグに関する情報収集をさらに積極的に行うとともに、魚礁としての利用については、各地で行われている実証実験を参考に今後の計画に生かせるよう取り組んでまいります。
 ■都市計画についてだが、平成23年に県から都市計画道路の見直し方針がだされており、現在、市道路政策課で見直し作業に取り組まれていると聞いています。平成24年に市の都市計画マスタープランが改定されています。そこには多核型都市という形で本市の構造が描かれています。中心市街地一点に人口や様々な集積を集中させるという考え方ではありませんが、コンパクトシティーの考え方は踏襲されて組み立てられていると思っています。
 現況把握をしっかりされていて、将来構想も良く出来、大変参考になりました。しかし、課題や方針が書かれていても、具体的な施策や主体が示されていないのが気にかかります。コンパクトシティーをこのような多核として組み立てていくには、核をつなぐ役割も担う都市計画道路をどのようにしていくか、欠かすことのできない視点です。しかし、道路のみならず都市計画にかかる「予定」は「未定」であり、現実的には住民に長年に渡って制限をかけていくことにもなります。建築制限をかけたまま放置することの弊害もあると思います。
 中心部地域の中でも、湊神前線や雄湊西浜線、今福公園が計画されている地域は「最後のフロンティア」です。道を通し、整備することは、防災機能が高まり、優良住宅地として、まちとして活性化につながり、子育てがし易く、年をとっても安心して暮らせるまちに生まれ変わるはずです。費用対効果としても地域から納付される税の増加が必ず見込まれる地域と考えます。
 また、内環状として市全体の中で担う地域の役割分担など総合的な見地に立てば、質の高い、コンパクトなまちが生まれ、本市の中心部地域にとって大きな投資効果と大きなメリットがあると思います。
[問] 中心部地域としてかかげられているところの都市計画未整備エリアに未着手の湊神前線や雄湊西浜線、今福公園の現況を鑑みた際、建設局、危機管理局・まちづくり局として、それぞれ所見を聞かせてください。
まちづくり局長 本市の都市計画道路は、円滑な交通処理、良好な市街地環境の形成、災害時の防災性の向上を目的とするもので、一部を除き昭和40年に国により都市計画決定されています。また、都市計画公園は、主として自然的環境の中で休息、散歩、遊戯、運動等のレクリエーション及び震災等の災害時の避難地等の用に供することを目的とするもので、一部を除き昭和23年に国により都市計画決定されています。
 中心部地域の中で、都市計画道路湊神前線や雄湊西浜線、今福公園が計画されている地域は、狭小道路が多く、住宅が密集し、開設された都市計画公園がない地域であり、現在、官民協働のまちづくりのモデルケースとなるよう、関係部局が一丸となってまちづくりに取り組んでいるところです。
 この地域における未着手の湊神前線、雄湊西浜線、今福公園については、現在取り組んでいる官民協働のまちづくりでの意見を反映できるよう、関係部局と連携しながら取り組んでまいります。
建設局長 本市の長期総合計画で内環状道路に位置づけされている路線については、湊神前線を含め、県市連携し、順次進めています。未着手の区間についても、現在事業中の路線の進捗を踏まえ、幅員、法線の見直しの検討を行い、早期に事業着手できるよう進めています。
 また、西和中学校南東部から南側の雄湊西浜線の計画は、幅員15m、延長2000mで、一部区間を除き住宅密集地内に配置する計画となっており、この計画による事業完成には相当な期間を必要としますので、早期にこの計画を見直す必要があると考えています。
 次に、今福公園は現在、運動公園として13.3ヘクタールが都市計画決定されています。この区域内は、都市計画道路と同様の建築制限を受けていることや、本市中心部に位置することなどから、今後、他の未着手の都市公園を含め、計画の用途、区域などについて関係部局と協議の上、見直しを検討してまいります。
危機管理局長 防災上の観点からは、湊神前線及び雄湊西浜線は、災害発生時には災害対策要員や緊急物資の輸送道路として、また避難路として重要な機能を発揮するとともに、火災の延焼遮断帯としての機能を求められています。
 都市計画上の今福公園は、県の検討によりますと、南海トラフの巨大地震が発生した場合には計画地周辺で津波の浸水が想定されてますので、災害時に活用する場合には一定の制限を設けることなども検討する必要があるとは思いますが、市街地における防災空間の確保は重要な課題と認識しております。
 現在、避難路として指定されている都市計画道路が28路線ございますが、御指摘の地域は、市中心部地域の中では避難路の空白地域と言える状況にあり、また、木造住宅の集まったところや狭隘で入り組んだ道路が各所にあることから、津波や火災時の避難、救護、消火などの行動に困難を伴う面がある地域と感じていますので、危機管理局としても少しでも安全度を高められるような方策を検討してまいります。

◇再質問◇

 ■和歌川終末処理区内の工場排水については、今年度にも手続き等の工程を進めるため、庁内横断的に下水道・環境・まちづくり部門で「関係課長会議」を立ち上げ調整・検討していくとの事です。くれぐれも調整して検討して、それで終わらせないようお願いをしておきます。環境を整え、持続可能な地場産業として振興していただけるためにも、各部局の英知を結集し新たな制度や基準づくりをして頂きたいと思います。
 ■鉄鋼スラグに関しては、国体を目途に、第二阪和国道や京奈和自動車道完成に向け関係する方々が鋭意取り組まれています。京都・奈良に接続される事で太平洋という海を持たない県が一本の道で近づくことになります。和歌山市の更なる価値を高めて頂けるよう、更に磨きをかけて頂きたいと思います。
[問] 県都和歌山の中心部地域の「最後のフロンティア」と申し上げたエリアの問題ですが、防災上は今そこにある危機として存在し、長年、計画し制限だけをかけ放置しておくことで大火災などが起きますと、行政責任も問われかねないかと思います。
 課題は沢山ありますが、シンプルに「県都発展」の為、県の呼称で都市間道路と位置づけられている南港山東線は和歌山市が受けていく。一方、都市内道路の湊神前線は、何とか市長が仁坂知事に協力を直談判して頂けないでしょうか。また、概成済みの雄湊西浜線から続く今福17号線愛徳園までの歩道整備の延長と、未着手の雄湊西浜線や今福公園はまちづくりの中で実現可能な計画として早急に見直し、出来る箇所から整えていけないでしょうか。
市長 湊神前線や雄湊西浜線の整備は、砂山、今福地区のまちづくりと、それから災害発生時の避難路確保のためにぜひとも早期に実現しなければならない課題だと認識しています。南港山東線についても県市政策連絡会議でいろいろと持ち合いについて協議しました。この湊神前線についても、県市政策連絡会議で役割分担について協議を進め、場合によっては知事に直接要望をいたします。
 次に、雄湊西浜線の歩道整備延長については、事業中の他の路線の進捗状況などを踏まえて、既存の歩道を活用した整備に取り組んでまいります。また、西和中学校南東部から南側の雄湊西浜線については、都市計画道路の計画の見直しに合わせて、現状の道路を含めた効率的な道路の整備計画を検討してまいります。
 最後に、今福公園ですが、現在、計画区域内には多くの住宅が建ち並び、計画どおりに施工するにはかなりの年月を必要とするため、防災空間としての必要性を考慮しつつ、規模や用途など計画の見直しを検討してまいります。

◇最後に◇

 湊神前線は、西は花王、それからゴルフの打ちっ放し場、ユーバスがあって、大浦街道から東に行きます。神明神社までの間は全くと言っていいほど道がありません。そこからさらに東へ堀止、国道42号線を越えて新堀川を渡ります。国体道路に当たって跨線橋を越え、貴志川線の踏み切りをまたぎ、松島本渡線に当たるわけです。その区間が内環状の一部です。
 実はこの間で、先人の行政マンが築いていただいた立派なまちづくり計画がございます。ここにいらっしゃる局長さんも触れたことがあると思うんですが、宇治田元市長が和歌山市の斎場を建てかえるときに大変苦慮された。昔、御墓と言われたところです。場所の選定を苦慮されて、住民とも協議したんですけれども、やっぱりなかなか受け入れてもらえない。それで建て替えになるわけですが、それだけではこの痛みは納得してもらえないだろうな、ということで、東和歌山公園を隣接地につくられたと聞いております。そこに湊神前線が接道され、島精機さんができていく。17年前には大和ハウスさんが和歌山支店をつくられた。それで今の町の姿があるわけです。
 それを西にまた戻していきますと、神明神社があって、今福霊園墓地、和歌山市で唯一です。そこへ道を通してあげる。公園が昭和23年か昭和28年、13ヘクタールでしたか、これ幻の計画ですよね、空地となっているところ。ここを整備していくことによって、ここが最後のフロンティアといいましょうか、町が見違えるようになっていくのではないか。結果、町はコンパクトになって、持続可能な町になるのではないか、と思うわけです。
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